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日食協、「日付逆転不可」解消へ 商慣習に問題提起 物流資源の有効活用を

2024年12月20日

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 日本加工食品卸協会(日食協)は、食品業界に古くから根付く商慣習「納品時の賞味期限ロット逆転不可」(日付逆転不可)の解消へ取り組む。製配販の取引では一度入荷した商品より賞味期限が1日でも短い商品が届いた場合、問答無用で返品できるルールがある。このため各社は納品時に日付逆転を起こさないよう、自社拠点間の在庫転送などに多大なドライバーや車両を投じているのが実情だ。「2024年問題」の本格化で国内輸送能力の低下が危惧される中、賞味期限の長い飲料や加工食品でこうしたルールを続けることは非合理的との見方も強い。日食協はメーカー・小売業との協議で日付逆転不可の商慣習を緩和し、持続可能な食品サプライチェーンの構築へ寄与させたい考えだ。(篠田博一)

 日食協の直近の調査によると、飲料大手メーカー3社が日付逆転防止のために拠点間輸送に投じたトラックは、年間で合計約2万5000台(大型車換算)の膨大な数に達するという。

 巨大な物量を扱う飲料業界では複数の工場や物流拠点が連携する複雑な供給ネットワークを形成しており、エリアごとの販売格差や在庫変動に合わせ、内部で納品可能な日付の商品を頻繁に転送している状況だ。

 例えば、あるエリアの売れ行き急増で在庫が不足した場合、すぐ近くの拠点に在庫があっても既出荷品より賞味期限が1日古ければ納品不可となり、関西→関東といった遠方からの商品転送で対応しなければならないケースも発生する。

 こうした物流負荷に飲料はじめ即席麺業界なども苦慮しており、事態を重く見た日食協は今秋から「日付逆転不可」の商慣習へ問題提起を開始。同協会の時岡肯平専務理事は「このルールは業界で長く当然と思われてきたが、裏では大変な物流の労力が必要。日付逆転が許容されれば人手や車両不足の緩和だけでなく、納品不可に伴う食品廃棄ロスの削減にもつながる」と取り組み背景を語る。

 すでに日食協では飲料メーカーと連携し、製配販6団体で構成するフードサプライチェーン・サステナビリティプロジェクト(FSP)の10月会議の場において、この商慣習がもたらす影響や対応の方向性などを提示。

 日付逆転の許容に向けたガイドラインとして、賞味期限180日以上・納入期限内の商品を前提に(1)月管理品(年月表示品)、日付管理品(年月日表示品)とも1ヵ月前までの逆転の許容(2)1商品に対して2回連続の逆転は行わない(3)発生時の情報共有–といった運用案も示し、FSP会議に出席した小売関係者らと共有した。

 「10月は初の問題提起だったこともあり、3層の理解やコンセンサスを得るのはこれから」(時岡専務)とし、今後もFSP会議などを通じて協議を進める方針だ。日付逆転不可の商慣習はメーカーだけでなく、卸拠点における在庫保管・出庫、小売店舗における品出し業務などの負担増にも影響を及ぼす。ルールの緩和が進めばサプライチェーン全体の負荷軽減や限られた物流資源の有効活用も期待でき、取り組みの意義は大きい。

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